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ベルリンのドッグウォーカーから学んだこと

【犬】とはどういうものなのかということを知るためには様々な国の犬を見る必要があります。

国内という狭い範囲だけで犬を見ていると、本来の犬とかけ離れた行動をそれが犬の常識だと判断してしまいがちです。

全く違う環境で育った犬達を見る事で、私たちの社会環境が作り出している大きな問題が見えてきます。

日本の社会的問題とはどのような事なのでしょうか。

~犬への理解をより深めるためドイツの犬事情を覗いてみましょう~

ドイツにはドッグウォーカーという仕事があります。飼い主さんが仕事や出かけている間、犬の散歩を代行するお仕事です。

今回は、その散歩に同行させてもらった時のお話です。
待ち合わせ場所は湖がある広大な森でした。

多くの犬達が来ていますが、吠え声などはいっさい聞こえず、とても穏やかな空気が流れていました。

散歩のために預けられた犬たちを見て、まず印象的だったのはその落ち着きです。車から出ようともせず、吠えることもなく、ただ静かにトレーナーさんの指示を待っています。強制して待たされているという感じはなく、本当にリラックスしている感じです。
さらに普段とは違って、周りには見知らぬ人間が10人以上(つまり私たちが)いるという環境でもこの状態なのだから、本当に驚きです。

ドイツの犬達の気質のよさを感じました。

車にいる犬は10数頭、まずは散歩前で興奮している彼らを落ち着かせるために(当日いた犬たちはみな始めから落ち着いていたように見えた)、車から出した順に座らせていきます。ここで落ち着かせないと、後々のコントロールが効かなくなったりするため、ここはしっかりと服従させておきます。全員が落ち着いてから、初めて散歩が始まります。基本フリーですが、チームに参加して間がなく言うことを聞かない犬にはロングリードを用います。

散歩中の彼らは基本的に自由。ただし、「スワレ」「コイ」「ストップ」などの指示が確実にきけるというのが前提。これらができれば枝をかじろうが、穴を掘ろうが、全て犬たちの好きなようにさせます。トレーナー側から彼らに求めることしません。
なぜ自由にさせているのでしょうか。

都会のように自由に出来る場所・時間が無いと、散歩などの外出時に犬は興奮します。

逆にいえば、自由に出来る環境を整えてあげれば、興奮しにくい。

興奮をしないということは、それだけストレスのかからない状態であると言えます。

また、ある程度自由であるほうが、他犬とのコミュニケーションが取れます。喧嘩が起きても、それを止めることはしません。(度を越えた噛み合いになったとしたら、話は別) 喧嘩をすることで、やっていい事・悪い事の区別もつき、良い社会化になります。
ところが日本だと基本的にリードに付けているので犬の行動範囲が制限され、さらに飼い主の制御が入ります。人が簡単に犬同士のコミュニケーションに干渉できてしまう状態です。犬の社会化を滞らせる原因の一つに「飼い主の対応の仕方」があるというのは間違いありません。おせっかいは大抵、いい結果を生みません。

また、幼少期に他の犬にどれだけ会っているか、どれだけ自由時間があるかで成長してからの犬の性格が決まります。ドイツのように、仔犬の時から電車に乗ったり、多くの店に入ることができたり、会社にも連れていけたりするような環境だと様々な刺激に慣れますが、日本にはそのような環境がありません。

今回共に散歩をした犬たちは好きなように歩きながらも、しっかりと自分は群れの一員だということを意識していました。つねにトレーナーの位置を確認し、遠く離れた場所に行ったりはしません。また、声がかかればすぐに集まって待機します。

群れの中での自分の立場を理解し、まとまりを求めるという≪犬本来の姿≫を見る事ができました。

彼らは毎日3時間、広大な森を自由に歩く事が出来ます。対して日本の犬たちはリードをつけられた状態でコンクリートの道を30分くらい歩くのが普通です。大きな違いがあらわれるのは当然の事であるといえます。 日本ではリードをつけるのが常識で、逆にフリーにしていると悪い事だというイメージがついています。

ですがドイツでは全くの反対。街では犬たちがあたりまえのようにノーリードで歩いていますし、リードをつけるのを禁止しているところさえあるくらいです。

もう一つの大きな違いは血統です。

ドイツの犬たちは全てがブリーダー出身。遺伝的にも大きな違いがあります。 日本は犬を手に入れるために犬を輸入しますが、毎日あたまりまえのように犬を殺し続けている日本へ、他国のブリーダーは大切な犬を送り出すでしょうか。普通はありえません。日本の犬・猫への非人道的な態度は世界でも有名です。

送り出すとしたら何かしら問題がある犬を選ぶでしょう。犬を物としてみている日本では血統書さえあればどんな犬でも喜んでもらいますから。ペットショップにいる犬達は、そもそも犬らしい気質を失っている可能性が高いのです。
ドイツと日本の犬の気質を左右する大きな違いを3つにまとめます。

○すべての犬がブリーダー出身であること

○電車、道路、店、家など、社会が犬の存在を受けいれていること

○人に干渉されない自由に出来る場所と時間が豊富にあるということ
散歩の途中で遊びに関する興味深い話を聞きました🐿🌳

続く・・・